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劉邦過剰評価論

 普通、中国史の英雄をリストアップすれば、劉邦はベストテンにランクインすると思う。しかし私の評価ではベスト20にもランクインするのは難しい。
 劉邦は偉大な漢王朝を立てたため高く評価されるわけだが、実際の漢の王朝の歴史を見れば、劉邦はその基礎部分を作っただけである。漢王朝が偉大なのは、文帝、景帝、武帝と名君が続いて国が大きくなったからだ。漢王朝の偉大さは4人で作ったものであり、劉邦の功績は30~60%ぐらいと見るべきである。
 劉邦が死んだときの権力の大きさはとても秦の始皇帝とは比べものにならない。領土を見てもそれほど大きいわけではない。始皇帝は、匈奴と南越を平定したが、劉邦は匈奴に敗退し南越は放置したまま、地方には諸侯国があって間接統治である。漢が世界帝国になるのは、文帝、景帝、武帝のおかげである。

 劉邦の人物としての凄さは人間的魅力と考えられることが多い。
 しかしこれも疑問である。陳平の評価を見よう。

 項羽は礼儀正しいので、義を知る者が集まるが、物を惜しむので野心家が集まらない。劉邦は礼儀がないので、義を知る者は集まらないが、物を惜しまないので、利益を好む者が集まる。

 人間的魅力そのものには大差がないのだ。おそらく現代の読者が人気投票しても、項羽と劉邦には大差はないのではないかと思う。
 違いは知力であった。はっきり言えば項羽は騙されやすいのだ。だから謀略によって切り崩すことで劉邦は勝利したのである。当時は項羽と劉邦の二者択一の時代である。劉邦の家臣の多くは、劉邦に魅力を感じたのではなく、反項羽同盟として劉邦の傘下に加わっただけなのだ。
 その現実を示すのが劉邦の死後の家臣の行動である。劉邦の子どもが次々と殺されていくのに誰も止めようとしない。誰も劉邦に恩など感じておらず、国が安定していれば劉邦などどうでもよかったのである。反項羽同盟だからである。
 劉邦は本質的に謀略の人である。人の使い方もまた計算によって行われている。黥布と面会したとき、傲慢な態度で面会してそのプライドを砕き、そしてその後に厚遇することで心をつかんだ。これが完全に計算であることは顔師古も指摘している。人を物と見て計算で応対するのが劉邦である。
 劉邦が愛情豊かな人物などではないことはエピソードからすぐ理解できる。項羽に敗戦して逃亡するとき、子どもを何度も捨てたこと。妻子や家族を項羽の人質になったまま平然と対決していたこと。劉邦の人間のタイプとして近いのは、曹操や司馬懿であるが、農民出身であるため知識に限界があること、参謀ではなく君主であるため露出度の高さから統計的に失敗が多くなり、謀略の印象が弱くなっているだけなのである。

 劉邦の偉大さは、始皇帝の統治による愚民政策が生んだ空白時代のたまものである。劉邦がもしも他の時代に生まれていたら、天下統一はおろか小さな国を立てることも難しいだろう。天才は生まれてくるのではなく、時代が生み出すもの。劉邦という個人は全く偉大でも何でもないのである。
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コメント

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劉邦の演技

劉邦は確かに劉備ではなく曹操に近いと思います。
全部演技だったのに騙された後世の人が劉備に劉邦を重ねただけだと思います。
本質的に劉邦のような男はいつの時代も狡猾に天下を取るような気がします。
人の世の本質は普遍ですから。
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